1920年代のHODGSON KENNARD&Coが入荷致しました。
いかにも1920年代らしいアールデコ全開のデザインが魅力の本日の一本。
文字盤のデザインは腕時計黎明期らしいスペード針とアラビアインデックスは夜光のペイント。パテックやバシュロン等も当時は似たテイストの腕時計を製造していましたが、実用性以上に優雅でラグジュアリーな雰囲気を漂わせます。100年以上前の時計で御座いますので文字盤のエイジングも劣化と言うよりはむしろ貫禄を感じます。
ちなみに「HODGSON KENNARD&Co」はあまり見慣れない名前ですがアメリカのマサチューセッツ州にあるマグノリアという村にあった宝石商です。
10年くらい前に「マンチェスター・バイ・ザ・シー」という映画が有りましたが、その舞台となるマンチェスター・バイ・ザ・シー(もしくは略してマンチェスターとも呼ばれます)はマサチューセッツの州都であるボストンの避暑地で、マグノリアはそのマンチェスターにある村の一つらしいです。
※などと、知ったことを書きましたが映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は未見なのでこれを機に見てみたいと思います。
さてここからが今日の本題でして、タイトルでビビッと来た方はかなりのオールドインター通。搭載するムーブメントはIWC製のCal.82です。
Cal.83の間違いじゃないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、Cal.82はCal.83の前に製造されたムーブメントでしてぱっと見はCal.83に瓜二つではありますが、直径と厚みが僅かにCal.83よりも大きいムーブメントです。
特に特徴的なのが2番車の穴石付近。シャトンがランゲの様にビス留めされています。
Cal.82は1919年~1928年の約10年間製造され、この個体は1920年の製造。驚くことに100年以上前に製造されたムーブメントということになります。しかもトータルで約2400個程度しか製造されていないらしく、出会うこと自体が極めて稀な、このムーブメントだけでも見る価値がある一品です。
ケースサイズは約28.5mm×約28.5mm。久方ぶりにコテコテのデコな時計を腕に乗せてますが、これはかなり良いなぁ。小振りですが存在感はご覧の通り。若干厚みのあるポッコリとしたクッションケースは文字盤のデザインも相まって何とも言えない愛嬌があります。
本当に100年以上経ったアンティークウォッチならではの佇まい、実に素晴らしい雰囲気ですね。デザインからムーブメントまで、余すところなく語りどころなレアな一品です。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野