1940年代のパテック・フィリップ Ref.565のご紹介です。
今回は既に販売済みの商品で申し訳御座いませんが、大変素晴らしい時計で御座いましたのでこの場を借りてご紹介させて頂きます。
先週より開催しておりますシェルマンクリスマスフェア2022のDMにも掲載させて頂きましたRef.565の大変希少なブレゲ数字とスペード針の組み合わせ。
Ref.565と言えばFB社製スクリューバックケースの分厚く大振りなフォルム故に、ヴィンテージ・パテックのシンプルウォッチの中でも屈指の人気を誇ります。
ケースデザイン故に私はドレスウォッチと言うには若干スポーティーな印象をRef.565に抱いておりましたので、世間の人気程には関心を持っていなかったのですが今回の565は別格です。ブレゲ数字が非常に好みのデザインという点も理由ではありますが、何よりもスペード針がその他のデザインの565とは一線を画すクラシカルな佇まいと特別感をもたらしています。
コンディションもケース・文字盤・針共に文句無し。ここまで状態の良い565を商品で見るのは私は初めてかもしれません。文句無しにこれまで見た565の中でもベストの一本です。
さてやはりこのスペード針は撮らざるを得ません。ブログでラウンド型のパテックのスペード針をご紹介するのは初めてですね。ご覧通り息を飲むような美しさ。針全体は細身ながらもしっかりと厚みを感じられ、先端は突き刺さりそうな程鋭く磨かれています。また、分針は要所要所を巧みに絞ることで立体感・造形美を生み出しています。
時針の造りは特に凄まじく、針の先端の根本を見て貰うと解りますが、細く絞られた針中腹に比べて先端は段差が生じる程に厚みを持った造形となっています。
余りに繊細かつ大胆な造形美。この立体感を同じレベルで再現出来ている時計は現行・アンティーク問わず決して多くはないのではないでしょうか。
ダストカバー付きのスクリューバックケースの中にはパテック製の手巻きムーブCal.12-120を搭載。
ケースサイズは約34.5mm。普段はやや大振りに感じるこのサイズ感ですが、今回の565は非の打ち所がありません。完璧な腕の収まりです。
FBケースと言えばスクリューバックの防水ケースならではのボリューム感のある厚みが魅力。そしてボリューム感がありながらもクラシカルでドレッシーさを感じさせてくれるのはブレゲ数字とスペード針の組み合わせだからこそと言えます。コンディションも相まって、今回の個体は数あるRef.565の中でも非常に稀有な存在ではないでしょうか。
光りを受けて輝くスペード針、最高です。
今まで見たヴィンテージパテックの中でもトップクラスにときめく一本でした。こういう時計との出会いがあるからこそ、この仕事は辞めらないのです(笑)
次の出会いも楽しみです。
銀座店 中野