1940年代のヴァシュロン・コンスタンタンが入荷致しました。
少々日にちが空いてしまいましたが久方ぶりの新着時計のご紹介です。日にちが空いた分というわけではないのですが、今日のは自分でも久方ぶりに「これは渾身の仕入れだったなぁ」と思う一本。レアなヴァシュロンのトリプルカレンダーです。訳あって普段よりも写真の量は倍増してお送りします。
まずはデザイン。インデックスは偶数飛びアラビアと多面カットされたバータイプ。針はシンプルなバーハンド。ポインターデイトのみ青焼針で先端は赤くペイントが施され、外周の日付表記の青色と良いコントラストが生まれています。ブランドロゴの下には曜日・月表記の窓がレイアウトされていて、ともすれば情報過多になりそうなデザイン要素の多さでありながら、そんな事を一切感じさせないのはこれぞヴァシュロン流と言ったところでしょう。
コンディションも良好で、文字盤・ケース共に目立つ傷はありません。特にケースは薄っすらと金錆の浮いたヴィンテージらしい雰囲気で好感が持てます。
現行のヴァシュロンのヒストリークシリーズにも似たデザインのモデルが有るので、ヴィンテージヴァシュロンにあまり馴染みがないお客様もピンとくる方が多いのではないでしょうか。
針の造形等、ディテールは文句なしのクォリティ。3本の針のクリアランスはきっちりと詰められていて、針のハカマの立体感も十分。多針系というぱっと見の華やかさに目を奪われがちですが、そういったモデルでもしっかりと丁寧な造りをご堪能頂けます。
ムーブメントはジャガールクルト製のCal.P458を搭載。こちらも仕上げの美しさ、コンディション共に文句無しです。
バックルは後年のヴァシュロン純正の18KYG製尾錠が付属します。
さて写真倍増の理由且つ本日もう一人の主役、何度目かの事前告知となりますがシェルマンオリジナルレザーストラップ、”Flair”(フレール)を先行お披露目。
今回ご紹介するのはラインナップの一つ、クロコダイルレザーのストラップ(ダークブラウン)。素材は高品質なエキゾチックレザーを管理・配給しているフランスのHCP(エルメス・キュイール・プレシュー)社から特別に取り寄せた原皮を使用しています。
ベルトの厚みはヴィンテージのドレスウォッチに似合う様に一般的なベルトと比べると若干薄め。それでいて今回のトリプルカレンダー等のようなやや厚みのある時計に着けてもしっかりとホールド出来る絶妙なバランスでデザインしました。コバの仕上げも美しく丁寧に行っています。
また是非見て頂きたいのがベルトの柔らかさ。一般的なベルトは新品の状態はやや硬いものが殆どですが、我々の”Flair”(フレール)は御覧の通りしなやかで、新品の状態でもいきなり腕にフィットする心地良さをご堪能頂けると思います。
という訳で早速腕乗りです。ケースサイズは約35mm。これは実に良いです。文字盤の凝縮感、レイアウトのバランスがパーフェクト。良い意味で大きさを感じさせない、多針系でありながらもドレスウォッチと言い切ってしまって良い程の佇まい。
厚みのバランスも良いですね。ケースサイドは複数本の溝を施す所謂ゴドロン系の装飾。実際の厚み以上に薄く見せる、このエレガントな佇まいを生み出している要素の一つ。ラグもファンシーな雰囲気だけでない、装着感まで計算されたであろう腕に沿うような絶妙な角度に唸らされます。
さてまたベルトの話に戻します。実はステッチも拘っておりまして、僅かではありますが、細かくやや斜めにステッチを入れることで手縫いの様な風合いを実現しています。
そして肝心のフィット感ですが、どうでしょう?時計やベルトが浮いた感じは一切無く、腕を包み込むような柔らかなフィット感。私も好きで色々なメーカーのベルトを試してきましたが、新品のベルトでこのフィット感は中々ありません。腕乗り至上主義者(?)の私も満足の出来栄えです。
”Flair”(フレール)についてはまた今後もご紹介させて頂きます。カーフ素材も中々良い出来だと思っています。是非お楽しみに。
※販売開始時期、サイズ、価格等の詳細は後日改めてご案内させて頂きます。
ちょっと話しがとっ散らかってしまいましたが、実に良い顔の時計ですよ。ヴァシュロンの面白いところが全部入っていると言っても過言じゃないですね。
私が入社してから数えてですが、クロノグラフを除いてヴィンテージヴァシュロンの多針モデルは今回のトリプルカレンダーが初めての入荷です。毎週色々な国内の仕入れの場やオークションに張り付いているのですが、今回のトリプルカレンダーを見つけたときはガッツポーズものでした。
近年徐々に評価の高まりを感じるヴィンテージヴァシュロンですが、まだ3針等は良い個体のものでもヴィンテージパテック程高騰はしておらず、比較的手に取り易いブランドではあるのかなと思っています。しかしながら今回のトリプルカレンダー等の様なユニークなモデルは以前から出会いの機会が限られておりましたので、近年のヴィンテージヴァシュロンの人気を考えると今後はより一層見つけるのが大変になりそうだなと覚悟しています。
ご関心頂けた方は是非この機会をお見逃しなく。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野