1950年代のパテック・フィリップ Ref.1450 “トップハット”が入荷致しました。
パテック・フィリップ Ref.1450、通称”トップハット”のご紹介。何気に当ブログ初登場です。
ケース上下の段差を設けたフーデッドラグが帽子を被ったシルエットに似ていることからRef.1450は”トップハット”の愛称で長年親しまれているリファレンスです。
当店でもよくお客様と度々話題には挙がる定番のリファレンスではあるものの、良いコンディションの個体との出会いはあまり多いとは言えません。後年に強いポリッシュが施された個体や、文字盤のコンディションの良いものがあまり残っていないのが主な理由かもしれません。ヴィンテージのレクタンギュラーの辛いところですね。
直線的と曲線を巧みに組み合わせて形作られるトップハットのフォルムは、十分な厚みや立体感を持ち合わせながらも、重厚感というよりはどこか愛嬌を感じさせるコロンとした佇まいが魅力。現代の時計にはないフォルムに抵抗感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、スーツなどカチッとしたコーディネートのアクセントにするも良し、とことんカジュアルにつけこなすも良しと、一度腕に乗せて頂ければこの意外な汎用性の高さに驚かれると思います。
トップハットはガラスの形状・コンディションも重要です。特徴的なカマボコ型のガラスは欠け等の無い綺麗な状態を保っています。ラグからガラスにかけてアーチ状のフォルムを生み出すのに、このガラスの形状は必要不可欠です。
ケースは若干の仕上げは施されていますが、ホールマークのヘルヴェティアもくっきりと綺麗に残っています。
ムーブメントはパテック・フィリップ製角型手巻のCal.9-90。ヴィンテージの角型ムーブの中では銘機中の銘機の一つ。コンディションも良好で、美しい仕上げは御覧の通り。
個人的には2番車周辺の仕上げと、プレートの入込部分の面取りに痺れます。
尚、アーカイブは現在申請中ですが恐らく1950年代の個体です。
では腕乗りです。ケースサイズは縦は約37.5mm(ラグ含む)、横は約21mm。横幅は帽子のツバの部分を含めれば約24.5mm程度あります。トップハットは初挑戦ですがどうでしょうか?個人的には想像以上にクラシカルな印象でスーツにバッチリはまります。
このラグの角度とガラスによるアーチ状の時計のラインと手首のラインがマッチして円・曲線を強調するシルエットを腕元に生み出します。時計であると同時に、ブレスレットの様な佇まいを意識してデザインされた時計なのかもしれませんね。
“カッコ良さ” と “可愛さ”という一見相反するテイストが見事に融和したRef.1450 “トップハット”。古今東西、他で中々見ることのない唯一無二のデザインですが、いざ腕に乗せてみるとどんなコーディネートでもそつなく腕にハマってくれる守備範囲の広さに驚かされます。
昨今のRef.96等の高騰に比べればまだ手に取り易い価格ではありますが、前述の通り仕入れられるレベルの個体は中々見つからず、自分が入社した7年間ではこの個体が2.3本目くらいの入荷だと記憶しています。ご検討されていた方はこの機会をお見逃しなく。是非当店へご来店下さい。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野
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