1950年代のパテック・フィリップ Ref.2526 トロピカルが入荷致しました。
数か月ぶりのご紹介となります。パテック・フィリップ Ref.2526 トロピカルです。
「シェルマンと言えばトロピカル」、という風に仰って頂くお客様も未だに多く、私としても「いやもう本当に待っていました」と言った感じです。以前は世界的には特に注目を集めていたリファレンスではなかったのですが、昨今は海外のメディアでも取り扱われる機会が増え、出会いの機会は激減しています。
王道のドルフィン針と砲弾型インデックスに、最早説明不要と言えるくらい有名な二度焼きの陶製文字盤は美しい艶のあるアイボリーカラー。古今問わず陶製文字盤の時計は数多くありますが、端正さと柔らかさを兼ね備えたこの絶妙な色味・佇まいは唯一無二。Ref.2526さえあればドレスウォッチは上がりと言っても過言ではありません(実際は沼の入り口ですが)。
今回の個体は南米ベネズエラの高級宝石商”SERPICO Y LAINO” とのダブルネームモデル。2526のWネームでは比較的良く見かける銘ですが、日差しの強い南米では日焼けのしない陶製文字盤はさぞ打ってつけだったことでしょう。
裏蓋はエングレービングが刻まれておりますが、イニシャル部分はテキスチャー調の細かな彫りが施された凝った造形。
また、セルピコWネームの場合のみ裏蓋に”S&L”の表記が刻まれます。この刻印は強いポリッシュが施されると消えてしまうのですが、当個体はしっかりと残っているまずまずのコンディションと言えます。
ムーブメントはご存じパテック初の自動巻Cal.12-600AT。ジャイロマックステンプ仕様の後期型。肉厚の18Kローターはいつ見ても圧巻。仕上げも文句なしです。
パテック純正の18KYG製尾錠が付属します。
アーカイブは取得済み。1956年製造の個体です。
ケースサイズは約36mm。数あるヴィンテージパテックの中で、どなたでも腕に合わせやすいのがこの2526。普段私が敬遠するビッグサイズでありながら、御覧の通りしっかりとバランスよく腕に乗ってくれます。
それでいて厚みはしっかりと有るため、腕周りがしっかりした方や現行の時計のサイズ感に慣れている方でも違和感無く腕元でお楽しみ頂けるかと思います。
今回の個体は委託お預かり品なのですが、約30年前に購入したままほぼお使いにはならなかったとのこと。その証拠に詳しい方であればお気づきでしょうが、ケースは薄く金錆が浮いています。この風合いの良さも魅力の個体です。
実に良いバランス。この曲線的で柔らかなケースラインと、アイボリー色の文字盤の組み合わせはいつ見ても色褪せる事の無い普遍的な美しさを感じます。
光源によって文字盤の風合いが異なってみえるのもこのトロピカルの醍醐味。この艶感、堪りませんよ。実物はまた違った風合いが楽しめるのですが、これは新たに手にして頂くオーナー様の特権でしょう。
弊社でも最もお問合せの多いモデルと言っても過言ではないパテック・フィリップ Ref.2526、当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野