1950年代のヴァシュロン・コンスタンタンが入荷致しました。
今日のヴァシュロンは凄いですよ。約38mmのビッグケース Ref.4578。何が凄いかは後ほど。
文字盤はシンプルなバーハンド・バーインデックスの中三針。ロゴはエナメルの象嵌。ビッグサイズケースにはホーン系のファンシーラグを組み合わせた、これこそヴィンテージヴァシュロンといえる佇まい。この大きな文字盤の上をゆったりと優雅に秒針が躍る姿を見るのがまた良いんです。
ケースはほんのりと金錆が浮いていて、過度な仕上げが施されていないことが伺えます。また、ラグ裏とケースサイドのホールマークもしっかりと残っています。
機械はジャガー・ルクルト製の手巻きムーブCal.P454/5Bを搭載しています。
さてこの時計何が凄いかと言うと、やはり針なんですね。早いもので今年もあと一ヶ月で終わりとなりますが、このヴァシュロンの針は今年入荷した時計の中でもトップクラスのクォリティ。
特に長針はこれまで見て来た時計の中でも屈指の出来。鋭さ、厚み・立体感、磨きの滑らかさと文句をつけるところが全くありません。私が心の中で開催している”この針が凄い2023年 長針部門”ではぶっちぎりで一位です。
昨年末も秒針のクォリティがとんでもないヴァシュロンをご紹介しておりますが、甲乙つけがたいほどのレベルです。
似たような写真ばかりですみません。でもこれは様々な角度から隅々まで見て頂きたい。
解りますかね?先端に向かって針先が非常に鋭く細長く形造られているのが。同年代のヴァシュロンと比べてもちょっと普通じゃないレベルでして、これはこのリファレンスの特徴では無く製造上の個体差だと思いますが、とんでもない造り込みです。
針好きのお客様、この針の為だけに買う価値があると思いますよ。ご来店頂けるお客様は是非ルーペを使ってご覧になって下さい。
文字盤は外周に若干のやれ感が見受けられますが、全体的に綺麗な状態を保っています。
「38mmのビッグサイズともなると私にはやや大振りですが」とでも書こうと思っていたのですが、どういうわけかばっちり腕に乗っています。
ケースサイドから見て「ああ、成程」と感じます。まずホーンラグがかなり長い上に、腕にフィットするように絶妙な角度で取り付けられています。それでいてラグ自体はそこまでボリューミーではないのでビッグサイズでありながらも過度な大きさには感じないのではないかと思います。
というわけで、やはり腕乗りはばっちり。私には35mmのパテックの570よりも、不思議と38mmのこのヴァシュロンの方が腕にハマっている様に感じます。ビッグサイズのセンターセコンドでありながら間延び感も一切ありません。
これまでなんとなくパテックやオーデマに比べると、ヴィンテージのヴァシュロンに関してはファンシーなデザインにばかり目が行ってしまっていたのですが、針などのディテールの造りこみやケースのバランスなど、入社して6年経ったいま改めてヴァシュロンのクォリティに驚かされています。
未だ勉強の身なれど6年間それなりにヴィンテージのドレスウォッチを見続けていたつもりではありましたが、まだまだ勉強の余地がある。まだまだ底知れない奥深さがある。本当にワクワクしますよ。来月も来年も、また良い時計との出会いが期待出来そうです。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野