1950年代のオーデマ・ピゲが入荷致しました。
超久々のオーデマです。今日の文章はちょっと、否かなり贔屓目になりそうです。
というのも私がほぼ同デザイン・サイズのオーデマを使っておりまして、自分の手持ちの時計の中でも一番気に入っている時計の一つなんです。4年程前になりますが、某アンティークウォッチの催事にて一目惚れして普通にお客さんとして買ってしまった、そんな出会いの時計でした。当時自分は「ドレスウォッチはスモセコか2針でしょ」等と思っていたのですが、そんな自分の時計の見方や概念を変えられてしまうほどの衝撃を受けたんです。
私の昔話はさておき今回の個体はシンプルの極致と言って良いほどの潔いデザイン。バーハンドに細身の砲弾インデックス。ケースはカラトラバを彷彿させつつも、厚みを極限まで抑えたこの時代のオーデマを体現するかのようなエレガントなフォルム。自論で暴論ですがバーハンドのセンターセコンドのドレスウォッチはこれを持っていれば基本的に完結できます。それほどまでの完成度。特に薄型のドレスウォッチ好きならば確実に刺さる。手に取るだけで、腕に乗せるだけで、ルーペでのぞき込むだけで気持ちが高揚するような、そんな時計です。
因みにこの時計は会員制のネットオークションで見つけたのですが、写真では3時位置のシミが結構目立っていまして少しリスクはあったのですが、感覚的にいけるだろうと思って落札しました。結果実物は写真程ではなく、今回の仕入れは十分に”勝った”と言えるコンディション。6年間ほぼ毎日写真を撮影してきたお陰か、最近は写真から実物のコンディションがある程度は想像出来るようになってきました(写真は実際よりもシミや汚れが強く写ることが多いんです)。写真の技術ではないのですが、思わぬところで想像していなかった成長を感じられるのは嬉しい限り。40代、まだまだこれからです。
オーデマと言えば針でしょ。完璧な造形の針のハカマ。時計はかなりの薄型なのに、針だけでこの立体感。文字盤・針・風防のクリアランスが極限まで詰められいるからこそ出来る業。
針の先端も”鋭い”という一言では言い表せない、極限まで研ぎ澄まされた刀剣のような針先。細いだけでなくしっかりと立体感があります。これぞオーデマ、これぞ究極のバーハンド。
ムーブメントはジャガールクルト製の薄型手巻センターセコンドCal.2002を搭載。基本的にAPのムーブの巻き味は好みなのですが、今回の個体は頭抜けて素晴らしく、仕入れで触れてきたこれまでのAPの中でもTOP2に入る気持ち良さ。大げさに聞こえるかもしれませんが、私の中では至高の領域に近い感触。これは私の手持ちのオーデマも到底敵いません。
ケースサイズ約32.5mm。これ以上は足しても引いてもいけない、私の中では最高のサイズ。
今回の投稿で一番見て欲しい写真はこのカットかもしれません。
APの薄型ドレスの素晴らしいところは単に薄いだけではなく、繊細で美しい曲線を描くケースラインと立体感を両立している点にあります。特に立体感が重要で、薄型でありながら腕元での存在感が生み出されている。ここが損なわれると途端に貧相な時計になってしまうわけですが、オーデマに限ってはそういうことが無いんですね。
マッシブ過ぎず品が良い。でもしっかりと腕元には風格をもたらしてくれる。3大ブランドの中でも薄型ドレスに関してはオーデマを私は推します。
なんて文章を書いてるうちにどんどん愛着が湧いてきてしまいました。正直今回の時計は売りたくないですね(笑)
上司から怒られるので勿論冗談ですが、大事にしてくれる人のところへお嫁に行って欲しいな。全部の時計がそうなんですけどね。でもこいつは別格かな。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野
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