1970年代のパテック・フィリップ Ref.3558が入荷致しました。
今日は中々のレアもの、パテック・フィリップのRef.3558のご紹介です。
一見すると60年代を代表するRef.3445等と同じ系統のデザインですが、なんといってもこの太くマッシブなラグが他のモデルとは一線を画す存在感を放っています。
生産数は恐らく3445や3514等と比べてかなり少なく、特にホワイトゴールドケースのものは滅多に見かけません。文字盤もインデックスや針に黒の塗装や、インサートが入る個体の方が比較的多そうで、今回のシンプルなホワイトゴールドの針とインデックスの組み合わせは更に希少なのではないでしょうか。
スイスの高級宝石商であるベイヤーとのWネームであるところもポイントで、スモールセコンドの中央に記された”BEYER”の文字が控えめながらも特別感を醸し出しています。
分厚いケースの中にはパテック製自動巻きムーブメントの中でも屈指の完成度を誇るCal.27-460Mを搭載。
さてこの時計、やはり見るべきポイントはラグだと思います。普通ラグの前面は鏡面仕上げの方が多いと思うのですが(3445も3514も鏡面)、3558の場合は太く幅広なラグの正面からケースサイドにかけてヘアライン仕上げが施されています。
なぜ3558のラグはヘアライン仕上げなのか?
あくまでも私の推測に過ぎませんが、もし幅広のラグを鏡面仕上げにした場合、周りの風景がかなり映り込んできます。3445等の様に細いラグであれば良いのですが、幅広のラグだと結構五月蠅くなりそうです。実用時計であれば気にしませんが、パテックともなるともう少し気を利かせて欲しくなります。
ヘアライン仕上げの場合、光を受けるとホワイトゴールドの素材ならではの柔らかな色味(光を受けると薄く黄色味掛かります)が現れます。これを幅広のラグを持つ3558に施したことで、重厚感のあるケースデザインでありながらもホワイトゴールドが本来持つ柔らかでエレガントな雰囲気が出せるようにデザインしたのではないか?私はこの時計を見てそう感じてなりません。
写真ではお伝えしきれない光を受けた時のケースの雰囲気。これは是非店頭で、特に日光の下で実物を見て頂きたいですね。
ケースサイズは約34mm。他の27-460搭載機とほぼ同じサイズ感ですが、マッシブなラグが生み出すケースラインは重厚の一言。
さてケースサイドも見逃せません。ラグは上下のエッジが面取りされていて、こちらにはポリッシュ仕上げが施されています(ベゼルもポリッシュ)。異なる仕上げを使い分けることで各部のメリハリが付き、分厚いケースでありながらも細くエレガントなケースラインを生み出すことが出来るのです。
アーカイブは現在取得中ですが、販売当時にベイヤーにて発行されたギャランティーが付属。1972年に販売されており、製造年はムーブメントナンバーから推察するに1971年頃かと思われます。
貴重なギャランティー付きのパテック・フィリップ Ref.3558 18Kホワイトゴールド、当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野