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シェルマン銀座店 スタッフブログ

2000’s ウルバンヤーゲンセン Ref.2 パーペチュアルカレンダー 18KYG Cal. FP71

 

2000年代のウルバンヤーゲンセンが入荷致しました。

 

 

本日はアンティークではなく独立系ブランド、ウルバンヤーゲンセンのパーペチュアルカレンダーモデル Ref.2をご紹介させて頂きます。

 

ご存じでない方も多いかと思いますので簡単にご説明させて頂きますと、ウルバンヤーゲンセンは18世紀後半から19世紀後半に活躍した時計師をルーツとしたブランド。ウルバンの父親のヤーゲン・ヤーゲンセンはあのブレゲとも交友があり、ウルバン自身もパリのブレゲの工房で修行した経歴があります。

 

現代のウルバンヤーゲンセンは1985年にペーター・バウムベルガーが同ブランドの運営を引き継いで以降のモノ造りを継承しており、今回ご紹介するRef.2はそんなウルバン・ヤーゲンセンの中でも希少なパーペチュアルカレンダーモデル。Ref.2は総生産数200個未満で、18Kのモデルは122個製造されたと言われています。

 

デザイン自体はウルバンヤーゲンセンお馴染みのギョーシェ文字盤に、当ブランドの顔とも言える特徴的な立体的造形の針。加えて6時位置をポインターデイト、3時・9時のウィンドウには曜日と月表示と、極めて王道でクラシックなパーペチュアルカレンダーのレイアウト。

一見は他ブランドでもありそうな時計に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、その製造のプロセスは大部分がオートメーション化された現代のモノ造りとは異なり、ケースや文字盤、針の製造に至るまで随所に職人の手の業が施され、その造りこみは細部にまで抜かりがありません。

 

 

立体的な造形のムーンフェイズに周辺は文字盤中央のギョーシェとは異なるパニエギョーシェを施しています。

 

 

6時側のデイト表記のインダイヤルも同様のパニエギョーシェ。時分針と同様にポインターデイトの針もしっかりと立体感兼ね備え、ハカマの造形に至るまで完璧。この緻密さ、圧巻です。

 

 

そして忘れてはいけない針。ウルバンの針はアンティークウォッチと同様に手作りです。純金から作られるこの針はダイヤモンドサンドペーパーを用いて段階的に磨き上げられ、最後に企業秘密である特別な木材を使用し鏡面研磨を行います。

 

 

特に圧巻なのが時針の立体感。先端の三角形部分の厚みと鋭さ、針中央の円形アイレットの巧みな磨き・面取りは筆舌に尽くしがたい程のクォリティ。一見ルーペで見なければ分からない程に細かいポイントではあるものの、このディテールへの造りこみが時計をパッと見た時の輝き・表情の豊かさのベースになっているのです。

 

因みにブレゲの弟子ということもあってこの針をブレゲ針と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、長針はストレートなバーハンドとの組み合わせの為、これはアンティークウォッチに見られるポンティフ針がモチーフではないかと私は思います。

 

 

バックルは純正の18kYG製尾錠が付属します。

 

 

文字盤はホワイトというよりはややアイボリー調の色味。厚く立体的な針を用いているにも関わらずガラスと文字盤のクリアランスはかなり狭く、こういった細かな点にもアンティークウォッチの時代の3大ブランドに勝るとも劣らない造りこみを感じます。

 

 

ケースサイズは約38mm。昨今の基準で考えると、パーペチュアルカレンダーを搭載する時計としては比較的小振りなケースサイズで、文字盤の凝縮感、バランス含めパーフェクトのバランス。

 

 

特に見て頂きたいのがこの厚み。一般的な3針の時計と比べても遜色のない薄さ。ケースラインも美しく、ティアドロップラグの華やかさも相まった優雅な佇まい。

 

 

分厚く大振りなサイズになりがちなパーペチュアルカレンダーにも関わらず文句無しの腕乗りです。

 

 

今回の個体にはブルーのグラデーションが美しい、純正ボックスが付属します。

 

 

ボックスの中には時計とキャリング用のポーチが収納できます。

 

 

いつもブログの末尾に記載している私のプロフィール。その中で私は”アンティークも現行も好きな雑食”を名乗らせて頂いているためか、「現行の時計なら何がお勧めか?何が好きか?」をお客様からご質問頂く事が稀にあります。そういう時に真っ先にお話しさせて頂くのがウルバンヤーゲンセンでして、私としてはずっと憧れていたブランドです。

どのぐらい思い入れがあるかと言うと、私が時計屋になる前、東京でウルバンの扱い店舗が無かった時にわざわざ新幹線で名古屋まで見に行った程です。その時はお金が無くて到底買えなかったのですが、今となっては価格も大分上昇し、そもそも見つける事すら困難な時計となってしまいました。

そんな自分が時計屋で働いていて、まさかウルバンヤーゲンセンを売る方になっているなんて、当時の自分としては思いもよらない事なのですが、違った形とはいえこの時計と関わることが出来ている、一ファンとしては贅沢な経験だなぁとしみじみ感じながら文章を書いています。

 

現代の時計でありながらもアンティークウォッチにも通ずるような一流の職人のモノ造りをご堪能頂けるウルバンヤーゲンセンのRef.2、当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。

 

銀座店 中野

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