1950年代のパテック・フィリップ Ref.2508が入荷致しました。
年末に滑り込みでパテックの大物が入荷しました。当ブログでは初登場、Ref.2508のイエローゴールドです。
Ref.2508は50年代に登場するスクリューバック仕様のビッグケースモデル。ケースはRef.565やRef.1463で有名なFB社が製造をしており、スモールセコンド仕様のRef.2509と同じケースデザインです。
今回入荷の個体はRef.2508では最もベーシックなドルフィン針とクサビ・スクエアドットインデックスの組み合わせ。スクエアドットのインデックスは単なる四角い造形では無く、上部を多面カットされた手の込んだ仕様。これが光を受けるとキラキラと美しく輝き、50年代の程良いデコラティブなデザインも相まって豪奢な雰囲気を放ちます。
外周のミニッツマーカーはカラトラバによく見られあるパールドットではなく目盛りを刻んだスケールタイプ。これが光の加減で2トーンの様に見え、文字盤全体を引き締める効果も担っています。
やはりドルフィンの様なエッジの立った迫力のある針はヴィンテージパテックに限ります。直線的かつ立体的な造形で有りながら、先端は手作業で滑らかに曲げられています。この先端の曲線に色気を感じるのです。
ダストカバー付きのケースにはパテック製手巻のセンターセコンドムーブCal.27SCが搭載されています。
ブランドロゴだけでなく、外周のミニッツマーカー同様にエナメル仕上げ。文字盤のコンディションも文句無し。ケースも過度な磨きは入っておらず、ラグ裏とケースサイドのホールマークもしっかりと残っています。
ケースサイズは約34.5mm。以前同じケースデザインであるRef.2509の投稿(1回目、2回目)でかなり語らせて頂きましたが、このケースはやはり傑作。細腕の私が普段敬遠しがちなビッグケースでありながら、腕乗りはパーフェクト。
肝はケースサイド。分厚くゴツイ印象を抱きがちなスクリューバックかつ2ピースケースという仕様でありながら、程良く傾斜を加えたベゼルに、厚みを感じさせないように細く美しく造形されたケースライン。腕に乗せると若干ラグの位置が高く浮いた感じになるため手首を包み込むようなフィット感はスモールセコンド仕様のRef.570には一歩譲りますが、ケースサイドを一切絞らない造形のRef.570と比べて時計全体の佇まいはRef.2508の方がよりドレッシーさを私は感じます。
アーカイブは取得済み。1954年製造の個体です。バックルはパテック純正の18KYG製尾錠が付属します。
近年非常に人気が高騰しているFBケースのヴィンテージカラトラバ。Ref.2508とRef.2509は近年では大体2年前後のペースで入荷しておりますが、年々入荷が難しくなっておりますのでお探しだった方はこの機会をお見逃しなく。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野