1960年代のパテック・フィリップ Ref.2545が入荷致しました。
今日はかなりテンションが上がる一本、パテック・フィリップのRef.2545のご紹介。今回はそこそこボリューム多めでいきます。
言わずと知れた防水仕様のカラトラバで、純粋なカラトラバの定義に当てはめればヴィンテージパテックの中では最後のカラトラバと呼べるモデル(カラトラバの定義についてはこちらのコラムをどうぞ)。
今回の個体はコンディションも申し分なし。文字盤は傷や汚れは見受けられない非常に美しい状態で、ロゴ・スモセコ共にエナメルの盛り上がりもばっちりです。
ケースもベゼルの左下側に打痕と、左下のラグにほんのわずかな傷が見受けられますが、過度なポリッシュ感の無いオリジナルのケースラインを堪能できます。
私が今まで見た仕入れ分のRef.2545ではベストコンディションだと思います。
普段パテックのドルフィン針は先端を撮影してばかりなので今回は中心側(ハカマ)から一枚。この針の厚み、堪りませんね。
さてこのRef.2545ですが、Ref.96との最大の違いはやはり2ピース構造のケースでしょう。
3ピースケースのRef.96はベゼルとミドルケースが別々のため、サイドにミドルケースのラインがしっかり出ます。
一方Ref.2545は写真の通りベゼルとミドルケースが一体構造でミドルケースのラインは無く、96よりもマッシブで厚みを感じるデザインとなっています。
個人的にはドレッシーなケースラインのRef.96が好みなのですが、今回の個体は前述のとおりケースコンディションが良く、ラグからケースにかけてのラインがホールマーク付近まで残っていて、カラトラバならではの流麗なケースラインを生み出しています。
ポリッシュが進むとこのラインがだるくなり、途端に「ボテッ」とした感じになってしまうのですが、今回は言う事無しです。
オリジナルの尾錠は側面にも刻印が入っています。レアな仕様という訳ではないらしいのですが、個人的にはちょっと珍しいかなぁと。
ツク棒にも刻印が入ります。これもなんか嬉しいんですよねぇ。
スクリューバックケースの中にはヴィンテージパテック最後の12型手巻きムーブである耐磁仕様の27AM-400を搭載。
生産数の少ないレアなムーブメントで12-120が約24,000個、12-400が約10,000個の製造に対して、27AM-400の生産数はおおよそ5,000個。
美しい仕上げを楽しむことが出来る、非常に良いコンディションをキープしています。
ところでこの27AM-400ですが、極めて個人的な趣向でいえば世間で珍重される程には好みという訳ではありませんでした。
というのも私はムーブメントはクラシカルな意匠のものが好みでして、テンワにはチラネジが有った方が燃えるのです。
まぁ私の話はどうでもよいとして、引き続きこの時計の美しさを楽しみましょう。
日光の下でも文字盤の美しさがお分かり頂けるのではないでしょうか。
力強い造形のドルフィン針も非常に映えます。実にカッコ良い。文句無しです。
ケースサイズは96よりも1mm大きい約31.5mm。スクリューバックケースならではの厚みも程良く、96とは異なるフォルムながらも非常に良いバランス。腕乗りは最高です。
アーカイブは取得済み。1961年製造です。
数あるヴィンテージのカラトラバの中でも非常に人気の高いRef.2545。コンディションの良い個体は中々見かけなくなっていますのでお探しだった方はお見逃しなく。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野