1990年代のブレゲが入荷致しました。
本日は90年代のブレゲのご紹介。当店としては初の入荷です。シェルマンがなんでブレゲ?という方もいらっしゃるでしょうがその辺は追々。
記念すべき一本目は手巻きにムーンフェイズ付きのRef.BA3300。我々アンティークウォッチファン好みの小振りなサイズに、アシンメトリーに配置されたムーンフェイズが如何にもフランスが起源のブレゲらしいデザイン。
ブレゲの代名詞の一つとも言える手動旋盤によるギョーシェ彫りの文字盤は中央とスモセコでクル・ド・パリと波模様でパターンを変えて彫られています。またインデックスを囲む様に施される同心円状の仕上げがギョーシェとのコントラスとを生み出し、2トーン文字盤の様な表情の豊かさも非常に魅力的です。
個人的にこの年代のブレゲが良い時計だなと感じる理由の一つがこちらの青焼きのブレゲ針。
あまりにもアイコニックなデザイン故にブレゲ以外の数多の時計でも採用されたスタイルではありますが、そのデザイン故か薄く平たいイメージが強く、立体的な造形・迫力を感じる事はあまりありません。
しかしながら流石は本家ブレゲ、ご覧の様に先端の肉厚さからも分かる通り立体的な造形で、特に先端は斜めにカットまで施されているのが解ります。
個人的な意見としては、青焼きの針は光を吸収する色味のため金無垢素材の針と比べて立体感を出しにくく、故に立体的な造形が施されることが少ない(施しても気付かれにくいので)のではと考えているのですが、この針の中腹の輝きからも分かる通り細身の針ながらも太さ・立体感を感じられる造形に仕上がっています。
私の様な針好き人間からするとこの仕事には頭が下がるばかりです(笑)。
ムーブメントはジャガールクルト製の手巻きムーブCal.818/4を搭載。
バックルは18KYG製の純正尾錠が付属します。
ケースサイズは32.5mm。サイズ感は文句無し。
ブレゲお馴染みのケースサイドのコインエッジもクラシカルで良い雰囲気。比較的薄型のドレスウォッチながらも立体感を感じさせるディテールで非常に映えます。
一目見てブレゲと解るアイコニックなデザイン、凝縮感のある絶妙なバランス、美しいドレスウォッチをお探しのお客様には非常にお勧めです。
ブレゲと言えば弊社とも縁の深いダニエル・ロートがブレゲ復興当時の70~80年代に所属しており、当時の製品作りに深く関わっていたことは有名な話。
彼はまずブレゲの研究から始め、ブレゲ自身が手掛けた懐中時計や置時計を腕時計に相応しい構造へと設計し、数多くの作品を造り上げました。
ブレゲの作品を徹底的に研究し、「もしブレゲが腕時計を作るとしたらどのようにするか」ということを絶えず念頭におき、「真の腕時計とは」と考え、多くの腕時計を作り上げた事がロート氏が「ブレゲの再来」といわれる所以です。
90年代には既にロート氏はブレゲを去っておりますが、彼のモノづくりのノウハウや哲学は確実に蓄積され、以降の製品にも大きく影響を与えていたであろうことは、今回の一本を見てもひしひしと伝わってきます。
アンティークウォッチの時代とはモノづくりのカタチは変わっている時代はありますが、間違いなく良い時計、だと私は思っています。
と、書きたいことはまだまだ沢山ありますが、ちょっと長くなり過ぎたので今日はこの辺で。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野