今日もシェルマンで扱う時代の名品を、ある歴史の偉人の価値観と照らし合わせながら、その奥深い魅力に触れていこうと思います。
(※こちらは既に販売済みとなった商品ですが、素晴らしい時計のため掲載させていただきます)
ル・クルトが1950年代に製作した「ミステリーダイアル」。文字盤の上で、手品のようにダイヤモンドが宙に浮遊する構造。初めて目にする方を魅了する美しいデザインです。

1.MAYA理論が捉えた「時代の欲望」
1950年代のアメリカは、戦後の空前絶後の好景気と技術革新に湧き立ち、誰もが明るい未来と豊かさを求めたアメリカンドリームの時代。人々は生活のあらゆる場面に「新しい美しさ」と「豊かさの象徴」を求め、デザインはその熱量を吸収するように進化を遂げていきました。
この時代の空気を最も鮮やかに形作ってみせたのが、今回交わる歴史の偉人でありインダストリアルデザインの巨匠レイモンド・ローウィ(1893-1986)でした。
彼が提唱した「MAYA理論(Most Advanced Yet Acceptable=最も先進的でありながら、受け入れられるもの)」は、斬新すぎる未来像で人々を置き去りにするのではなく、先進的な驚きを与えながらも美しくエレガントに時代へと溶け込ませるデザインの極意でした。

2.ミステリーダイアルが語るもの
当時のアメリカ市場向けに手掛けたこの一作には、レイモンド・ローウィがMAYA理論で説いたような「先進性と受容性」のバランスが、美しく体現されているように感じられます。
33mm径の14KWGケースがクラシカルな印象を漂わせ、文字盤上にあしらわれたダイヤモンドはより上品に輝きます。
また裏蓋には、ヴァシュロン・コンスタンタンとの合同会社からのプロダクトであることを示す刻印もしっかりと確認できます。

3.豊かな時代の純粋な夢とエレガンスを感じて
伝統的なドレスウォッチの枠組みを守りながら、見る者に知的な驚きと高揚感をもたらすミステリーダイアル。それは、1950年代という特別な時代がル・クルトというレンズを通して腕元に結晶化した、文化史の産物とも取れるでしょう。
レイモンド・ローウィがデザインを通じて描き出そうとした「豊かな未来への橋渡し」。腕に乗せればきっと、未来を夢見た時代の美学を感じることができるかもしれません。

同店の佐々木に引き続き、
「青山店ブログ恒例のコーディネートコーナー」
今回は変わったTシャツを合わせてみました。
私が長らく探していた、Vintageのだまし絵(またの名をトロンプルイユ)のタキシードモチーフです。1980年代当時にアメリカでプロムの二次会などに、あえて外しとして着られていたアイテムで、今回のボディーも同年代である80年代のヘインズ製です。
だまし絵の中でも特に数の多いタキシードモチーフですが、ボタンのモチーフにラインストーンが使用されたものは中々見る機会がなく、一期一会で入手しました。
フォーマルな対象であるダイヤモンドやタキシード。それはあくまでも一元的な印象に過ぎず、至る所に新たな解釈が眠っています。

ぜひ店頭で、実際に腕に乗せてその時代の空気感を解釈してみてください。
青山店 山本
※レイモンド・ローウィに関する記事は多数掲載されておりますが、何と彼がデザインした時計もあるそうです…
ご興味のある方は合わせてご覧ください。
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