1950年代のパテック・フィリップ ref.96が入荷致しました。
本当に久しぶり。96のイエローゴールドのドルフィンハンドのご紹介。
何だかんだ言ってもヴィンテージパテックでまず最初に欲しいのはやはりこれ、カラトラバの元祖Ref.96。その中でもドルフィン針と砲弾インデックスのアイコニックなスタイルは90年以上経ても古臭さを一切感じさせません。
文字盤はクリーニングはされておりますが雰囲気は決して悪くありません。ヴィンテージパテック最初の一本として、日々使って楽しむデイリーウォッチとして非常にお勧めです。
パテック・フィリップ製12型の手巻きムーブCal.12-120を搭載。
この時代の96、何と言っても針が最高です。後年のカラトラバでもドルフィン針は様々なモデルで採用されていますが、ここまで肉厚なドルフィン針を求めるとやはりヴィンテージに限ります。針の先端の曲げ具合も良い感じです。
針が光を受けた時の輝き、堪りません。風防と文字盤のクリアランスをきっちり詰めているのも視覚的に大きく影響します。
今更語るまでもありませんが、やはり良いですよ腕乗り。どうしてケースサイズ30.5mmでも存在感があるのかと言えば針等の細かな造形が素晴らしいのは勿論ですが、
ケースの造形に依るところも非常に大きいのです。
昨今、というかもう大分昔からドレスウォッチは薄く見せる事がセオリーとなっていますが、Ref.96が生まれた1932年においてはそういう考えは殆どなかったはず。そのため後年のパテックのドレスウォッチと比較しても、Ref.96はケースサイドを絞って薄く見せる様な事はされておらず、ベゼルを含んだケースの厚みがそのままケースサイドのラインとなっています。風防入れて大体8.5mm、風防無しで6mm強くらいの厚みになるでしょうか。
何が言いたいかと言うとケース径30.5mmに対して、実はかなり分厚い時計なんです96は。時計を単に二次元的にのみ捉えるとケース径30.5mmというサイズはかなり小振りな時計になりますが、三次元的に時計を捉え、縦横比(ケース径に対する厚み)まで考慮すると96は非常に分厚い時計である、と考えられるのです。
他にもバンド幅が18mmでケース径に対してかなり太いという点も、時計を腕に巻いた際の全体のシルエットを強調するのに一役買っています。
「腕に乗せると意外と大きく見える」、お客様に96をご試着頂いた際に何度となく聞いてきた言葉ですがこれらの細かなディテールが時計全体の、96ならではの存在感を決定づけているのです。
アーカイブは取得済み。1952年製造の個体です。
私もアンティーク最初の一本はデザイン違いのRef.96でした。買った時は「これでドレスウォッチ卒業だ」などと思ったものですが、結局このドルフィン針のRef.96も欲しくなっちゃうんですよ(笑)
一番出会いの数が多かったはずのドルフィン針のRef.96ですが、最近は中々目にする機会が減ってしまっております。まだ間に合ううちに私ももう一本手に入れたいものです。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野