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シェルマン銀座店 スタッフブログ

アンティーク時計の寿命を飛躍的に延ばす5つの鉄則|故障、錆び、磁気帯びを防ぐ正しい扱い方

こんにちは。ウォッチリペアコーナーの狩野です。

いつもシェルマン公式Youtubeチャンネルをご覧いただきありがとうございます。

先日Youtubeチャンネルに「飛躍的に寿命を延ばすアンティーク時計の扱い方」をアップいたしましたがご覧いただけましたか?

 

動画では「汗・水」「操作の力加減」「過度なゼンマイ巻き上げ」「衝撃と振動」「磁気帯び」の5つの基本ポイントを事例付きで解説しました。

本記事では、時計修理の現場で培った経験から、さらに一歩踏み込んだ追加の秘訣をお伝えします!

アンティークやヴィンテージの時計を購入されたばかりの方、ギフトで贈られた方にもすぐ役立つ内容です。

 

#1. 日常ケアを超えた「定期的な分解洗浄」の重要性

動画では着用後のクロス拭きやブラッシングを推奨しましたが、これだけでは十分ではない場合があります。

裏蓋とケースの合わせ目や、リューズの付け根など、微細な隙間に入り込んだ皮脂汚れや湿気は、日常的な拭き取りでは除去できません。

これらの汚れが滞留し、湿気が入り込むことで、ケース内部やパッキンの劣化を早め、最終的に内部機械の深刻な腐食につながります。

汗に含まれる塩化物と湿気は、金属の不動態被膜を破壊し、肉眼では見えないところで腐食を進行させます。

3〜5年に一度の定期的なオーバーホールの際には、技術者にケースと裏蓋の徹底的な分解洗浄を依頼してください。パッキンの交換とともに、腐食リスクを最小限に抑えられます。

 

 

#2. 磁気帯びの対処法|安易な自己判断が危険な理由

「突然、時計が1日に数分も進むようになった」という場合、多くの方が磁気帯びを疑うでしょう。

しかし、安易に自己判断で対処することはお勧めできません。

市販されている消磁器を使ってご自身で対処される方もいますが、不適切な使用は時計の他の部品に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに重要なのは、精度不良の原因は磁気帯びだけではないという点です。

長年の使用による油切れ、部品の摩耗、天真の損傷、ヒゲゼンマイの変形など、磁気抜きでは解決しない機械的な問題が潜んでいる可能性があります。

精度に不調をきたした場合は、まず専門店にご相談ください。

専門家が原因を特定し、磁気帯びであれば安全な方法で適切に磁気抜きを行い、他の機械的な問題であれば適切な修理をご提案いたします。

 

 

#3. 手巻き時計の巻き方|「巻いて戻す」テクニックの正しい理解

動画内で、リューズを「巻いて戻す、巻いて戻す」というテクニックをご紹介しました。

このテクニックは、巻き上げ時のコハゼや周辺の歯車にかかる急激な負荷を和らげることを目的としたものです。

ただし、このテクニックはすべての方に必須というわけではありません。

組み込まれているゼンマイによっては反力が小さいものもあり、この場合はリューズを持ち替えながら、力をかけずにゆっくりと一方向に巻き上げる方法で問題ありません。

もしご自身の時計が巻くときにリューズに強い反動や抵抗を感じる場合は、動画で紹介した「反力を優しくいなす」テクニックをお試しください。

自動巻きの場合は、止まった状態から20回程度手巻きして動かしたら、あとは着用して自然に巻き上がるようにすればOKです。

 

 

#4. 貴金属ケースでも「汗拭き」が必須な理由

動画では、貴金属製の時計は「変色する程度で腐食は進みにくい」とお伝えしました。

これは耐食性が高いという事実に基づきますが、ケアが不要という意味ではありません。

金やプラチナといえども、合金(K18など)は汗に含まれる塩分や空気中の成分により、表面の変色(特にピンクゴールドなど)やごく微細な腐食を起こす可能性があります。

そして何より、時計のムーブメントを構成する歯車やネジの多くは、鉄や真鍮といった金属で作られています。

ケースが貴金属であっても、ひとたび水分が内部に入り込めば、機械は容赦なく錆びてしまいます。

貴金属製のアンティーク時計こそ、その美しさを長く保つためにも、着用後は必ずクロスで優しく拭き取り、湿気を避けて保管してください。

 

 

■まとめ|アンティーク時計を一生ものにするために

アンティーク時計は、適切なケアと知識があれば、本当に世代を超えて受け継ぐことのできる資産です。

本記事のポイントは、3〜5年に一度のオーバーホールで分解洗浄を依頼すること、精度不良は自己判断せず専門店に相談すること、手巻きは基本的に優しく一方向で十分であること、貴金属ケースでも汗拭きは必須であることです。

 

————

 

■よくある質問(FAQ)

Q. アンティーク時計のオーバーホール頻度はどのくらいですか?

A. 一般的に3〜5年に一度を推奨しています。ただし、使用頻度が高い場合や精度に変化を感じた場合は、早めの点検をお勧めします。

 

Q. アンティーク時計は毎日使っても大丈夫ですか?

A. 日常使用は可能ですが、激しい運動時や水仕事時は外すことをお勧めします。また、複数本をローテーションすることで、各時計への負担を軽減できます。

 

Q. 磁気帯びしたかどうか自分で確認できますか?

A. 急に1日数分以上進むようになった場合は磁気帯びの可能性があります。ただし、他の原因も考えられるため、専門店での診断をお勧めします。

 

Q. アンティーク時計の保管方法を教えてください。

A. 直射日光を避け、湿気の少ない場所に保管してください。長期間使用しない場合も、月に1回程度はゼンマイを巻いて動かすことで、内部の油の固着を防げます。

 

Q. 曇りが出たら自分で乾かしてもいいですか?

A. 自己乾燥は酸化や拡大を招くことがあるため避け、専門店へ持ち込みを推奨します。

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本記事は一般的なアドバイスです。個別の時計については専門店でご相談ください。

この記事の内容についてご質問がございましたら、シェルマンまでお気軽にお問い合わせください。

今後も皆様の時計ライフを底上げするような情報を発信してまいります。

 

 

■以下の公式チャンネルのディープトーク集 ichigo_ichie VLOGを観れば『時計沼』を味わえます。

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