1930年代のパテック・フィリップ Ref.522が入荷致しました。
今日の一本はきっとお好きな方の多いことでしょう。1930年代のパテック・フィリップ Ref.552のご紹介です。
30年代に多数生まれたパテックのレクタンギュラーの一つ。特に我々日本のヴィンテージウォッチファンに馴染み深いのはRef.425だと思いますが、今回のRef.522はケースサイドが特徴的な一本。3段にステップしたケースサイドは非常にシャープな造形。まだステンレスの加工技術が現代ほど成熟していない30年代において、手間暇かけて造られたであろうことが見て取れます。
※ちなみにRef.522のケースサイドのデザインにはバリエーションが有り、2ステップのものも存在します。
文字盤は12時のみアラビックにバーとドットを組み合わせたインデックス、針はリーフハンドとかなりアールデコ感の強いデザイン。インデックスと針はピンクゴールド製で、ステンレススチールのケースに対して程良い差し色になっているのもポイント。カジュアルとラグジュアリーの良いとこ取りといった感じ。個人的に気になる針の造形も素晴らしく、ラウンド系と比べると短いながらもしっかりと立体感と美しさを兼ね備えた文句無しのリーフハンド。ハカマの造形も最高です。
ケースバックにはエングレービングが刻まれています。
ムーブメントはパテック製の角型手巻きムーブCal.9-90を搭載。80年以上の個体でありながら非常に美しい状態をキープしています。
どうですか、良い雰囲気でしょう。光を受けた際に生じるケースの陰影が良いんですよ。この雰囲気は3ステップのケースサイドだからこそ。
ケースサイズは縦30.5mm×横23mm。縦幅はラグを含めると約40.5mmで比較的長め。ケースバックは腕に沿うように僅かに湾曲しておりフィット感も良好。文句無しの腕乗りです。
十分な縦幅を持っているが故に、ケースサイドのステップが腕元で実に映えます。このシャキッとした感じが堪りません。
かなり気に入りました。レクタンギュラーのお手本のようなバランス感です。
アーカイブは取得済みで1938年製造の個体です。
さて今回のRef.522、もう一つアピールポイントが御座います。
熱心なヴィンテージパテックファンのお客様はご存じかもしれませんが、こちらはJohn Goldberger氏のパテック・フィリップのステンレススチールケースのモデルだけを集めた書籍でして、
実は今回のRef.522はこの書籍に掲載されているものと同一の個体です。まさかこんなものが巡って来るとは思いませんでした。驚きです。
以上、パテック・フィリップ Ref.522でした。
久々にグッとくるレクタンギュラー撮ったなぁという感じでした。そういえばヴィンテージウォッチのレクタンギュラーはまだ一つも持っていないので、もしいつか手にするならこういう時計を手に入れたいものです。角型好きのお客様はどうぞお見逃しなく。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野