1990年代のオーデマ・ピゲ “フィロソフィ”が入荷致しました。
今日はオーデマの珍しいワンハンドのドレスウォッチ、”フィロソフィ”のご紹介。
リーフハンドにバーインデックスの文字盤は、オーデマのロゴすら排した極めてシンプルなデザイン。12時側のラグの懐中時計の菅の様な装飾と、ベゼルのカボションがワンポイントになっていて、端正なイメージの強いオーデマにしてはかなり愛嬌のある雰囲気。
ケースは18Kイエローゴールドをベースとし、ケースサイドにのみ18Kホワイトゴールドを用いたコンビ使用。リューズはケースの内側に隠れるデザインで、通常のラウンドウォッチと比較してもかなり”円”を強調したようなデザインです。
ケースバックにはちゃんとオーデマ・ピゲの刻印が入ります。
さてこのフィロソフィ、一番の特徴がこちらの時差修正機能。
一見先程の写真から2時間程度時間が進んだだけの様に見えますが、良く見て頂くとカボションの位置が変わっています。実はこの時計ケース全体が回転する構造になっておりまして、渡航先の現地時間に合わせてケースを回転させることで時差修正が出来ます。
正直「ワンハンドの時計で必要か?」、「リューズ引いて時間合わせれば良くないか?」と聞かれれば絶対に必要な機能だとは言いにくいのですが、個人的にはこのちょっと酔狂な感じが嫌いではありません。むしろ好きですらあります。これこそ大人の余裕を感じさせてくれる一本ではないでしょうか。
バックルはオーデマ純正の18KYG製の尾錠が付属。革ベルトもオーデマ純正です。
ムーブメントは薄型のオーデマ・ピゲではお馴染みのジャガー・ルクルト製の手巻きCal.2003を搭載。非常に美しい状態をキープしています。
ケースサイズは約31mm。特殊なデザインながらも腕に乗せた時の雰囲気は中々の正統派。厚みも約4mmとかなり薄く、この薄型ドレスの造りの上手さはヴィンテージオーデマの真骨頂と言えます。
ケースサイドに用いたホワイトゴールドが美しいケースラインを強調しています。
普段我々がイメージするオーデマとは異なる雰囲気のワンハンド “フィロソフィ”。1982年に誕生したこのモデルは、18世紀頃まで普及していた短針時計を参考にしたと言われていて、当時のクォーツ時計全盛期において “時の経過” に対する考え方に一石を投じる想いで造られたそうです。
せわしない日々、喧噪から離れてゆっくりと旅でもしながらフィロソフィを眺める、ちょっと憧れてしまいますね。この時計に時差修正機能を付けた理由が少し解った気がします。
当店にお越しの際は是非お手に取ってお楽しみください。
銀座店 中野