こんにちは、ウォッチリペアコーナーの狩野です。
「せっかく自動巻き時計を買ったのに、翌朝には止まっている…」
「腕に着けているのに、なぜか数時間で止まってしまう」
そんなお悩みを抱えていませんか?
自動巻き時計がすぐ止まってしまうのには、実は現代ならではの「ある原因」や、良かれと思ってやってしまう「間違った扱い方」が関係しているかもしれません。
そこで今回は私が自動巻き時計の正しい取り扱い方と、時計を傷つけずに長く使うためのポイントをプロの視点から分かりやすく解説します!
- #1.自動巻き時計がすぐ止まる2つの主な原因
- #2.絶対にやってはいけない!時計を壊すNG行動
- #3.プロが教える!自動巻き時計の正しい巻き上げ方・扱い方
- #4.すぐ止まるトラブルは「調整」で直ることも!
- よくある質問(FAQ)
- 時計の寿命を長くする方法をご紹介
- シェルマン公式チャンネルを応援しよう!
1. 自動巻き時計がすぐ止まる2つの主な原因
自動巻き時計が止まる原因は、必ずしも「油切れ」や「パーツの破損」とは限りません。まずは以下の2つの可能性を疑ってみましょう。
① 現代人の運動量不足(巻き上げ不足)
自動巻き時計は、腕の動き(遠心力)によって内部のローターが回転し、ゼンマイが巻き上がる仕組みです。しかし、デスクワーク中心の生活や、スマートフォンの普及による運動量の低下により、現代人は「普通に生活しているだけではゼンマイが十分に巻き上がらない」というケースが非常に増えています。特に巻き上げ効率が控えめなアンティーク時計(ヴィンテージウォッチ)では、この傾向が顕著です。
② 内部パーツの経年劣化(スリップ現象)
自動巻き時計には、ゼンマイが巻きすぎて切れないよう、満タンになると滑って負荷を逃がす「スリッピングアタッチメント(滑り機構)」が備わっています。しかし、長年の使用で内部のグリスが乾いたり摩耗したりすると、「まだ半分しか巻かれていないのにズルズルと滑ってしまう」というトラブルが起きます。これが原因で、パワーリザーブ(駆動時間)が極端に短くなっている恐れがあります。
2. 絶対にやってはいけない!時計を壊すNG行動
時計が止まったとき、焦って以下のような行動をとっていませんか?これは時計の寿命を縮める、あるいは一発で故障させる原因になります!
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【NG】時計を激しくシェイクする(強く振る) 止まった時計を動かそうと、手首を激しく振ってガチャガチャと強い衝撃を与えるのは絶対に避けてください。内部のローターの軸(ローター芯)やベアリングに想定以上の負荷がかかり、パーツが歪んだり歯車が欠けたりする原因になります。
3. プロが教える!自動巻き時計の正しい巻き上げ方・扱い方
自動巻き時計を安全に、そして確実に巻き上げるための正しい作法をご紹介します。
現行品・アンティーク時計の「手巻き」の目安
自動巻き時計が完全に停止している状態から着用する場合は、あらかじめリューズ(竜頭)を回してゼンマイを少し巻いてあげるのが正解です。
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現行の時計: リューズを約20回ゆっくり回す
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アンティーク時計: 現行品より巻き上げ効率が低いため、約30〜40回巻く
手巻き機能がない時計の振り方
古いモデルや一部の時計には、リューズでの手巻き機能がついていないものもあります。その場合は以下の手順で優しく動かしましょう。
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時計の文字盤を床に対して垂直(立てた状態)にする。
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左右に、まるでメトロノームのように優しく一定のリズム(1秒間に2回)で振る。
これにより、内部のローターが最もスムーズに、かつ安全に回転してゼンマイを巻き上げることができます。
4. すぐ止まるトラブルは「調整」で直ることも!
「ちゃんと巻いているのにやっぱりすぐ止まる」という場合、パーツの全交換(高額な修理)が必要になるのでは…と不安になりますよね。
昨今は時計のパーツ代が高騰していますが、信頼できる技術者のいる専門店であれば、必ずしも高額なパーツ交換が必要とは限りません。内部を丁寧に洗浄し、特殊なグリスを正しく再塗布して、アタッチメントを職人の手で「調整・修正」するだけで、本来の性能を取り戻せるケースはたくさんあります。
「おかしいな」と思ったら、手遅れになる前に、大切なオリジナルパーツを守るためにもぜひ一度プロにご相談ください。
自動巻き時計の取り扱いに関するよくある質問(Q&A)
Q. 自動巻き時計は毎日着けていれば一生止まりませんか?
A. 毎日着用していても、デスクワークなどで腕の動きが少ない場合は、巻き上げ不足で止まることがあります。また、内部の保油状態(グリスの乾き)やパーツの摩耗などの経年劣化によっても止まりやすくなるため、定期的(3〜5年に一度)なオーバーホール(分解掃除)が必要です。
Q. 止まった自動巻き時計を動かすために、どのくらい振ればいいですか?
A. 激しく振るのではなく、文字盤を立てて左右に優しく、メトロノームのように200回(アンティークなら300回程度)往復させてください。手巻き機能がある時計の場合は、振るよりもリューズを20回(アンティークなら30〜40回)ゆっくり回してゼンマイを巻く方が、時計に負担をかけず安全です。
Q. 自動巻き時計が1日(24時間)もたないのは故障ですか?
A. 現行の多くの自動巻き時計は、満タンに巻かれていれば約40時間〜70時間以上動きます。1日(24時間)未満で止まってしまう場合は、「日中の着用時の運動量が足りていない(巻き上げ不足)」か、内部の「滑り機構(スリッピングアタッチメント)の不具合」の可能性が高いです。まずは手巻きで満タンにして様子を見て、改善しない場合は専門店へ修理・調整をご依頼ください。
Q. 自動巻き時計を「ワインディングマシーン(ウォッチワインダー)」に入れて保管するのはおすすめですか?
A. メリットとデメリットがあるため、一概におすすめとは言えません。毎日着用しない時計を常に動かしておけるため、カレンダーや時刻合わせの手間が省けるというメリットはあります。しかし、機械が常に動き続けることで、内部パーツの摩耗やオイル(潤滑油)の劣化が早まるというデメリットもあります。特にパーツがデリケートなアンティーク時計に関しては、ワインディングマシーンは使用せず、使う時だけ手巻きや優しいシェイクで動かす方法を強くおすすめします。
Q. 自動巻き時計のリューズ(手巻き)を回しすぎると、ゼンマイが切れてしまいますか?
A. 現行品・アンティーク問わず、自動巻き時計であればリューズを回しすぎてもゼンマイが切れることはありません。自動巻きにはゼンマイが満タンになると過剰な負荷を逃がす「滑り機構(スリッピングアタッチメント)」が組み込まれているためです。ただし、切れないからといって毎日何百回も高速で回し続けると、手巻き用の歯車(キチ車や丸穴車など)や自動巻き機構に余計な摩耗や負担がかかります。巻き上げは必要最低限(20〜40回程度)にとどめ、ゆっくりと丁寧に行うのがベストです。
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